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堅田 元喜; 永井 晴康
no journal, ,
気象モデルを用いて地表面への霧沈着量を評価するために、簡易かつ高精度な霧沈着推定スキームFogDESを開発した。このスキームでは、気象モデルで計算される大気最下層での雲水量と、多層大気-植生-土壌モデルSOLVEGを用いてパラメータ化した霧沈着速度を掛け合わせることによって、霧沈着量を計算する。霧沈着速度の計算には、森林での著者らの研究に基づいて、水平風速に対して勾配Aで増加する関数を用いた。勾配Aは、葉面積指数と樹高の関数で表した。背の低い植生地での勾配Aを調べるために、SOLVEGを用いて草地への霧沈着速度を計算し、霧粒と同等の粒径を持つ粒子の沈着速度の観測データと比較した。計算値は観測値と良好に一致し、草地では勾配Aが針葉樹林の0.2倍になることがわかった。この結果に基づいて、勾配Aを気象モデルで使用されている植生カテゴリーごとに設定した。裸地面や海表面への霧沈着速度は、霧の粒径分布に対する重力沈降速度で与えた。FogDESの計算モジュールは、気象モデルWRFの最新版に搭載されている。
梶野 瑞王*; 堅田 元喜; 平木 隆年*; 藍川 昌秀*; 小林 禧樹*; 植田 洋匡*
no journal, ,
1999年7月における六甲山地の森林への主要な大気汚染物質(SO, NH, NO, Cl及びNa)の沈着経路を数値的に調べた。霧沈着を考慮し改良版WRFモデル(fog-WRF)と領域大気質モデル2(RAQM2)をシミュレーションに用いた。モデルの再現性能を確かめるために、霧水中の化学物質濃度の測定結果をモデルによる計算結果と比較した。計算期間中、大阪湾から六甲山に向かう南風によって湿潤な空気が流入し、夜間、高度400mを超える山岳の尾根に沿って凝結が起こっていた。シミュレーション結果から、HNOの高い沈着速度のために窒素の乾性沈着量は大きかったが、全般的に霧沈着が主要なメカニズムであることが示された。
山口 高志*; 渡邊 陽子*; 堅田 元喜; 野口 泉*
no journal, ,
2012年の夏季に摩周湖の外輪山で霧の化学組成と粒径分布を測定した。霧水は霧水捕集装置を用いて日単位で測定した。降雨をバルクサンプラーで採取し、霧水とともにイオンクロマトグラフィーを用いて分析した。霧の粒径分布を光学的粒径モニターを用いて深夜0時から4時まで測定した。霧水中の全窒素イオン(NO+NH)の期間中平均濃度は、降雨中濃度に比べて5.4倍高かった。酸性度が高い霧がしばしば観測され、人為起源の大気汚染や活火山の影響が示唆された。10月には、ほかの月に比べて大きな粒径を持つ霧水の量が明らかに少なかった。この原因として、日本海から輸送されてきた海塩粒子が増加したことが考えられる。